あなたが今日行った1件の訪問の利用料っていくらか知っていますか?利用者から「1回来てもらうといくらかかってるの?」って聞かれたら答えられますか?
訪問看護を利用する際には利用者と契約をします。その際に契約という堅苦しい話をしますが、利用料についてももちろん説明します。介護保険はケアマネジャーがサービス提供票を用いてある程度説明をしてくれるのでありがたいです。もちろんこちらからも説明します。だけど、医療保険は私達が利用者へ1から説明しなければいけません、そしてこの医療保険の利用料が複雑・・・。訪問看護を提供する訪問看護ステーションのスタッフも自分がまさに今訪問しているその訪問がいくらなのか、把握する事は非常に重要だと思います。例えば、自分が食べ物を買いにスーパーへ買い物に行って店員さんに「この野菜はいくらですか?」と聞いて店員さんが『えっと・・・ちょっと分からないです。』って言われたら心配になりますよね。訪問看護の利用料って医療保険・介護保険、時間単位での利用料、加算・減算など複雑ですが、自分の行っている訪問がいくらなのかを知る事で、利用者さんの質問に対してすぐに答えられるメリットだけでなく、自分のサービスが利用料分の価値に当たるのか考えるきっかけにもなるかなと思います。
今回は、本当に1回訪問するといくら?の部分をお伝えしていきます。
介護保険・医療保険では、介護保険の利用料の構成の方が簡単
介護保険
要点
・要介護と要支援で異なる(要介護の方が高い)
・時間単位での利用料
訪問看護I1(20分未満の訪問)
要介護:313単位、要支援302単位
※算定要件あり、当ステーションでは算定した事はありません。
訪問看護I2(20分以上30分未満の訪問)
要介護:467単位、要支援:448単位
訪問看護I3(30分以上60分未満の訪問)
要介護:816単位、要支援:787単位
訪問看護I4(60分以上90分未満の訪問)
要介護:1118単位、要支援:1080単位
セラピストの訪問(20分で1回)
要介護:20分で293単位、40分で586単位、60分で792単位(10%減算)
要支援:20分で283単位、40分で566単位、60分で426単位(50%減算)(40分より60分の方が安い!これは事業所としては要支援の方に60分をやるなという事ですね、それだけの長い時間のリハの負荷に耐えられる体力があるなら、通所など居宅外のサービスをしましょうという事でしょうね)
単位
1単位は10.21円(単位あたりの円は地域区分によって変動)
1割負担の方なら、だいたい1単位を1円として説明しています。30分未満の訪問なら1回500円弱とか・・・
(さぁ、難しい方です)
医療保険
1回あたりの利用料
訪問看護基本療養費+管理療養費
(なんと2種類を足しているのです!)
少し脱線
「訪問看護基本療養費」とは・・・訪問した分の利用料(そのまま。分かりやすい)
「訪問看護管理療養費」とは・・・「制度に沿った事をしてね」という意味でしょうね。原文そのままだと……安全な訪問看護の提供体制が整備されており、訪問看護計画書や訪問看護報告書の主治医への提出等の当該利用者に係る措定訪問看護の実施に関する計画的な管理を継続して行った場合に算定する。※この管理療養費の要項の数がそのすごい多いです。(12項目あります)(安全管理・事故分析・褥瘡対策・7月報告(通称なないち報告)・電子的なやり取りは安全性を担保する・利用者からの電話相談や情報共有・報告書の保存・セラピストの訪問計画書と訪問報告書は看護師と一体となって作成・セラピストが訪問していても定期的に看護職員が訪問・他訪問看護ステーションとの情報共有と連携・保険福祉サービスとの連携・衛生材料の適切な使用と報告・施設への訪問時の施設内サービスとの連携)
利用料の種類
①その月の初回の訪問
②それ以降の訪問
③週に4日目からの訪問※週◯回のカウントは日〜土で考える
※①〜③はそれぞれ基本療養費と管理療養費が変動します
④1日に複数回訪問(難病等複数回訪問加算)
①12950円
訪問看護基本料寮費(5550円)+管理療養費(7400円)
②8550円
訪問看護基本療養費(5550円)+管理療養費(3000円)
③9550円
訪問看護基本療養費(6550円)+管理療養費(3000円)
④1日に2回の訪問は4500円の加算、3回以上の場合は8000円の加算
→②のパターンで1日2回訪問だと・・・8550円+4500円=13050円
→週4日目の訪問で1日3回訪問すると・・・9550円+8000円=17550円
複雑ですねぇ・・・
私が利用者に説明する際は「月の最初の訪問日に13000円、その後の基本料が8550円で、1週間の訪問が多い場合や1日に何回か訪問すると加算として料金が増えます。」と、料金表にマーカーを引きながら説明して、利用者の反応を見ながら細かく説明したり、「月々〇〇円くらいになると思います。」と月額料金を計算したりして説明しています。
これ以外にも医療保険・介護保険それぞれで、加算・減算があります。
加算は特別管理加算とか24時間対応体制加算とか・・・(10種類以上あります、20種類くらいかも)
減算は同一建物に1日3人以上の訪問(医療保険)とか、さきほど挙がった介護保険のリハの減算とか・・・
1回訪問してそれが全て自分の給料になる訳ではなく、事務所の維持費・物品・交通費・事務さんの給料なども利用料から補っています。野菜も、売って得たお金が全て手元に残る訳ではなく、そこから種・肥料・畑の土地代などなど引いた後に最後に残るのが純利益になります。
複雑ですが、利用料は受け手も売り手もしっかり知っておく必要があると思いますので、これを機に意識していただけると良いと思います。
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