♯5 訪問看護の開始までの流れ

訪問看護を開始するまでには、依頼者からの連絡、情報の確認、必要な書類の手配、契約があります。

訪問看護の依頼の連絡

たいていはケアマネジャー、病院やクリニック、生活相談員からの連絡で新規の依頼が入ります。「お世話になっています。新規のご相談です。◇◇にお住まいの方で、〇〇の病気や状態で、週〇日で△△の内容のケアをお願いしたいです。受け入れは可能ですか?」と、依頼元から新規の依頼である事と簡単な住所や状態を伝えていただけます。この時点では、相談の段階なので個人情報を伏せての情報がほとんどです。実際に受け入れが決まれば名前や住所などを教えていただけます。

先方は受け入れをしていただけるのかを第一に気にしています。

〇ここでの確認事項

・おおまかな住所(〇〇市◇◇町くらいまでは聞いて、訪問範囲なのか、訪問ルートのおおまかな予想をします)

・病気や状態(特に病名は重要です。病名によって介護保険か医療保険か分かれます)

・主治医(ここでの主治医とは、訪問看護指示書を書いていただける医師の事を指します。入院中の主治医と退院後の主治医が異なる場合もあります。)

・ケア内容

・訪問頻度、おおまかな希望の曜日や時間帯

・開始時期

私は住所(訪問エリアか、空き状況とルートの考慮)とケア内容(自分たちが対応できる内容のケアか)と訪問頻度(空き状況)でだいたい受け入れ可能かどうかを判断して返答しています。

基本的には依頼の連絡があった時点で受け入れ可能かお返事するのが良いです。すぐに返答ができない場合はなるべく早めに(当日中が理想、遅くとも翌日までには)返答ができた方が良いと考えています。もし受け入れできない場合、先方はすぐに他の事業所に依頼を進めなければいけないため、返答が遅くなった結果受け入れできない事になると迷惑がかかります。

※まれに先方から「今日の午後に担当者会議・契約でそのまま訪問を開始していただきたいです。」や「本日(or明日)から特指示で入っていただきたいです。」というご依頼もあります。その時は情報が少ない中で訪問が開始となり、担当者会議や契約・初回訪問時に情報収集していく事になります。

受け入れができる事を伝えると、名前や正確な住所、介護保険の区分などその他の細かい情報を教えていただけます。

このあたりは情報提供書や利用者基本情報を送っていただけますので、電話で確認したほうが良い情報と文章でも確認が可能な情報があるかと思います。医療的な情報や医療ケア内容はケアマネジャーに細かい情報を質問しても分からない事があり、そういう時は主治医や契約時にご本人やご家族に確認が必要となります。

病院やクリニックからの依頼の場合は医療的な情報や医療ケアなどの細かい情報共有が必要な事がほとんどのため、電話で確認しておくと良いです。

〇訪問看護指示書の手配

訪問看護を行うためには医師の指示が必要です。医師の診断名や状態や医療ケアの内容を確認の上で訪問する必要があるため、訪問開始までは訪問看護指示書が手元に届くように手配する必要があります。こちらが確認できないと訪問を開始する事ができませんが、緊急性が高い場合は医師の口頭指示で訪問を開始する事もあります。

依頼元が病院やクリニックの場合はすぐに準備していただけますが、ケアマネジャーからの依頼で主治医が大きな病院の場合は手配まで数週間かかる場合もあります。また、郵送でのやり取りしか対応していない病院が多く、手配までにさらに時間がかかります。

◯退院前カンファレンス(入院中で退院予定の場合)

入院中の方で医療者同士の情報共有が必要な場合は病院で(オンラインの場合もある)カンファレンスが開かれます。

事前情報がある場合や少ない場合もあり、カンファレンスに参加すると「え?この状態で本当に家で過ごせるのかな?」「この生活場面はどうするのかな?」など病院側と在宅支援側の考えが大きく異なる事もあります。※実際にカンファレンスをして、病院側はすぐに退院が可能と判断していましたが、在宅支援側が自宅での実際の生活をイメージしてもらうと、現時点ではなかなか自宅で生活が難しい事が分かり、リハ転院する事になったケースもあります。

私自身、病院で勤めていた時は恥ずかしながら病院側の意見そのままでしたので、お互い経験が無いと想像しにくいと思います。病院側は病気の経過や医療ケアを中心に話を進めていただけますが、訪問看護としては病気の事や医療ケアの事はもちろん知りたいですが生活全般も俯瞰して見る必要があり、視点が少し変わる事もありそれぞれの立場を生かして利用者様の生活を考えられると良いですよね。そのため元々訪問看護が入っていない方で退院後から訪問看護が入る場合、退院前カンファレンスを行い情報共有をした上で退院していただいた方がとても良いと考えています。

〇担当者会議

依頼元に受け入れができる事を伝えると、訪問開始時期や担当者会議の日程調整を行います。たいていは担当者会議か訪問開始日に一緒に契約をします。

介護保険を利用する場合はケアプランが必要で、ケアプラン作成で担当者会議を行うため、訪問開始前に担当者会議を行い介護サービスの担当者からの情報を確認します。

〇契約

契約書を用いて利用者へ制度の事や利用料や注意点について説明します。

みなさんも家電の説明書や民間保険の契約時には聞いているようで聞いていない事が多々あるかと思います。訪問看護の契約でも説明していても「そんな事は聞いていない」となる事がまれにあります。

私は重要な項目(利用料、キャンセル料など自費の部分、営業時間、その他重要だと考える事)はマーカーなどで線を引きながら、声のトーンや話し方を工夫しながら説明をしています。

※担当者会議・契約を行う場合は、私は90分くらいかかる事を想定して予定を空けています。確認事項が多い場合や利用者様から質問が多かったりすると、まれに2時間くらいかかる場合もあります。介護保険の利用だけど特指示から開始の場合の契約書は「介護保険」「医療保険」の両方を説明をして署名をいただかなければいけないため、より時間がかかります。

〇訪問開始前

担当者会議と契約は管理者や責任者が行い、訪問担当は別のスタッフという事が多いかと思います。

情報や方向性の共有は必要です。特に駐車位置や家の入り方はしっかり確認・共有しておく必要があります。訪問看護に慣れてきたスタッフは、初めての訪問先であっても初回訪問であっても駐車位置と家の入り方が分かり、家に入れればぶっちゃけそのあとは何とかなります。

〇初回訪問

事前情報と異なる点は多々あります。

実際に訪問しつつ計画を修正していく事がほとんどだと思います。

〇初回訪問後の報告

担当者会議で共有した通りの様子か、予定通りのケア内容が実施できたか、などをケアマネジャーへ報告します。ケアプランに修正が必要であれば伝えます。

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